ロング博士の実験
「異端審問」やエニン報告などの翻訳も完了し、今後はそのオペと全体的な構成が一つの課題となってくるだろう。しかし、まだ翻訳や調査しなくてはならないことも多々ある。
たとえば農学アカデミーによって抹消されたデスター報告の概要を、ケルヴランの著作の中から可能なかぎり復元し、再構成しなくてはならない。デスター報告の実験も基本的には「異端審問」のときとほぼ同じプロトコルに基づいているようだが、燐の変動についてフィルターに残留していた燐が溶出したのではないかという異議を出され、再実験に至った模様である。
その他にも、エニン報告においてノエルアンがケルヴランを支持する根拠として述べているヘンリーダブルデイ研究センターの報告についてもまだ調査する余地はある。
その記述によるとイギリスのヘンリーダブルデイ研究センターのロング博士という人物が、ゲゲンと同じようにケルヴランの実験を追試しているらしい。ノエルアンはその報告を根拠にS・エニンに反論しているが、このD・B・ロング博士の実験については今のところ断片的な情報しか得られていない。
ロング博士はライ麦を使った発芽実験を行なっているらしいが、同時にケルヴランに対してもある種批判的な面ももっていたらしい。彼もまたケルヴランの著作には全く登場していないが、ともかく「異端審問」前後にケルヴランと連絡をとりながら研究を行なっていたことは確かなようである。
ちなみにヘンリーダブルデイ研究センターは、現在も有機農業に関する研究活動を行なっているようだが、ロング博士の研究については全く回答が得られていない。ユネスコの場合もそうだったが、組織が大きくなるほど直球勝負は利かなくなるようである。
私も今のところイギリスにはコネクションがないので調査は難航しているが、ロング博士の実験は当時のケルヴランの発芽実験と時期的には対応しているように思われる。
次第に構想は論文集という枠を超えつつあるが、できるかぎり調査を尽くし、完成度の高いものに仕上げてゆきたいと考えている。それはあの「シーザーの獅子」との約束を果たすためでもある。
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