キエフ・グループの研究書
少し前のことだが、ヴィソツキー博士から奇妙なメールが届いた。
彼らの著作である『生体系における同位体の元素転換と核融合』を私は許諾を得て翻訳を進めているが、その進捗状況を知りたいというものだった。
論文集の翻訳体制を大幅に変えたことにより、その翻訳作業はほぼ中断状態にある。平日でも5~6本の資料の翻訳を平行して進め、なおかつ各国の研究者とのやりとりや調査作業に追われている現状ではその翻訳作業を組みこむことは難しい。彼らの著作の翻訳を進めるためには、その量子論的解釈を理解するために調べなくてはならないことが出てくるのでなおさらである。
博士にはそのような現状を伝えておいたが、奇妙なことに彼は私の電話番号を知りたいと言ってきた。
これまでもメールで全て連絡を取ってきたし、キエフと日本では時差もあるので電話で連絡を取るのは実際的ではない。そこでもしかすると日本人研究者が、ヴィソツキー博士を通して探りを入れてきたのかもしれないと考えた。このことを博士にそれとなく尋ねてみたが、返事はなかった。しかし、答えのないことが答えともいえるだろう。
これまでにもそういう動きがなかったわけではないが、もしそうだとしたら実にまわりくどい話である。知りたいことがあるのなら私にメールを送ってもらえればよい。答えられることには答えるし、そうでないことには答えないだけの話である。
彼らの著作の翻訳はある程度まで進んではいるが、未完成の状態なのでたとえヴィソツキー博士の要請でもそれを公にするつもりはない。昨年のICCFで博士と会見して著作も頂いたわけだが、それ以降は私のメールに対して全く返信もなく、また翻訳のためのサポートもなかった。したがって彼らに翻訳の成果を提供する義務もないものと考えている。いずれにせよ今は論文集の構築のための作業を優先する方針に変わりはない。
今年は異例なことに、ICCFは昨年と同じ横浜で開催されるらしい。しかし以上のような次第で、多忙をきわめている現状では参加することはできないと思う。
この冬は、孤独と静寂の中で自分の歩むべき道を進むことになるだろう。
| 固定リンク
コメント